スライムとキラーマシーン

俺の仕事はサポートセンター。マジでなんでも問い合わせてくる。

 

基本的な「パソコンの問い合わせ」すらもな・・・!

 

「マクロが動かない。」知らんがな・・・!

 

Accessクエリの組み方を教えて欲しい。」がんばれ・・・!

 

Excelが動かない。」そうか・・・残念だったな・・・!

 

しかしお客にとっては全部ひっくるめて御社システム、なのである。こじつけも甚だしい。

 

Excelかもしれないが、御社システムで使っていたらそれは御社システムの範囲内なのでは?」

Noだ。訳のわからないことを言うな。

お客様大国ジャパンでは業者の立場は弱い。懇切丁寧に俺はやらんゾと主張してももはやアドバイスだけ提供することは避けられない状況である。その為、適当にググって回答するのである。というか、客がググれよと思うが、客は電話で話したいのである。なんでやろうな・・・俺だって聞いてくれてもググるしかないんだよ・・・。

 

(厭味ったらしく「技術力のある弊社さん」と言ってくる客もいる。厭味を言う暇があったら仕事しろ・・・!ググれ・・・!)

 

弊社は顧客との近さがウリである。心理的な距離感の近さか、ダラダラと愚痴を垂れる客もいる。また弊社もそこに甘えている部分もあり、これは会社のスタンスである。しかし、営業、導入、開発で生じた全ての澱をサポートセンターに集め、臭いものに蓋をしているだけである。

 

さて、ここで自分の人生を考えたときに問題なのは、上記の問い合わせ対応をしてもググれるレベルなのでキャリアとして積んでいけないのである。いわば延々と始めの町の周りでスライムを倒し続けていることと同じだ

 

死ぬまで蓄積すればレベル20位にはなれるかもしれない。でもその時同級生はレベル60、70で悠々自適の生活。俺はレベル20なりの年金を受給し、外の世界を知らずにひっそりと死んでいくしかないかもしれない。下手するとまだスライムを倒しているかも・・・。

 

俺だってキラーマシーンを倒したい。レベル60になりたい。自分だけでなく、せめて大切な人数人ぐらいは守っていける生活をしたい。

 

でももしかしたら俺はこの澱を延々と掬う仕事から逃げているだけかもしれない。スライム倒しの自動化はキラーマシーンじゃないのか?自分にとってキャリアではないのか?人の話を聞くのが好きだし、頼られるのが好きな俺は、この仕事自体は好きだ。リセットして、ゴブリンを倒すゲームを始めたらいいのか?

 

年収を上げるためには果たしてどれが最短距離なのか・・・。ずっと考えているが答えは出ない。

 

でもキャリアとして大事なこと。どのRPGをしても汎用的に出来るように経験値集めのコツ、お金集めのコツ、仲間集めのコツを身に着けておくことだ。スライム倒しの自動化にしても、どのツールを使うのかの調査、会社を説得する材料、同志を巻き込む人望、いずれも必要である。No man is an Island. スライムを倒し続けてきてしまった俺は一人ではキラーマシーンを倒せないのである。

 

うん、分かる。にしても、分かっていたとしても、ストレスよ・・・。

 

ああーーーー。クソが。募金して俺は高尚なことしているって自己陶酔に浸るしかない。カラオケに行って叫んで来るしかない。うんぬあああーーーー。